菅前首相は、2020年10月26日、所信表明演説において、「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言し、さらに、2021年4月に開催された米国主催気候サミットにおいて、2030年に温室効果ガスの2013年度からの46%削減を目指すことを宣言しました。
最近の新聞紙上でカーボンニュートラル、脱炭素の記事を見ない日は無いくらいに話題には事欠かなくなりましたが、実際に我々の生活とどのように関係するのでしょうか。
日本では、温室効果ガス排出量の8割以上を占めるエネルギー起源二酸化炭素について、統計上、以下の5部門に分けることができるとされています。また、地球温暖化に関する対策・施策の効果もこの部門ごとに見ることができます。
①産業部門 ②業務その他部門 ③家庭部門 ④運輸部門 ⑤エネルギー転換部門
その中でも、我々消費者として生活に密接に関わるのが③の家庭部門です。
昨年10月に閣議決定された地球温暖化対策計画において、家庭部門は「2013年度比で約66%削減する必要がある」とし、「住宅の省エネルギー性能の向上等を図るとともに、国民が地球温暖化問題を自らの問題として捉え、ライフスタイルを不断に見直し、再生可能エネルギーの導入、省エネルギー対策、エネルギー管理の徹底に努めることを促す」と明記されました。また、「家庭で使用される機器の効率向上・普及やその運用の最適化を図ることにより家庭部門のエネルギー消費量の削減が図られる」としました。
では、我々が使うエネルギーとはどのようなもので、今後削減するためにはどう対応したら良いのでしょうか。
平成31年度(2019年)の世帯当たりの年間CO2排出量は2.72トンでした。
そのうち、電気の使用に伴う排出が66.2%、都市ガスが14.7%、灯油が13.2%、LPガスが5.9%を占める結果となりました。(下図10参考)
では、電気を何に使っているのでしょうか。
照明や家電製品等が多いのですが、暖房も多くなっています。照明や家電製品は小さいものの集まりである事から、やはりポイントは暖房と言えそうです。(下図2-2参考)
一般的に空調の使用電力は、室外機から空気を取り込むために、室外と室内の温度差に左右されると言われています。そのため、理論上暖房のほうが使用電力は多いということになります。
仮に快適な室温を25℃とした場合を考えてみますと、夏の場合、外気温が38℃だと、その差は13℃になります。一方、冬は東京都においても平均気温は約5℃、もっと寒い気温の日もあります。仮に外気温が0℃であった場合、その差は25℃にもなります。このように快適室温との差でみると、夏は13℃、冬は25℃と、その差が10℃以上も離れているのです。そのために冷房より暖房の方が電力使用量は多いと考えられるわけです。
ではその暖房エネルギー使用量を減らすにはどういう事が出来るのでしょうか。
幾つかあると思いますが、以下に掲げてみました。
①暖房器具を新しい機種に変えることで節電効果を上げる
②設定温度を下げる
③サーキュレーターで熱効率を高める
④適度な湿度と温度を保つ
⑤開口部である窓周りを改修する
他に工夫次第で様々な省エネ対策はあると思いますが、今回は我々の事業にも関係する⑤を取り上げたいと思います。以下の図34の通り、二重サッシまたは複層ガラスの窓普及率は全国で24%とまだまだと言えるでしょう。ガラスやサッシ、いわゆる窓からの外気の冷気侵入と、温めた室内の熱が窓から出て行く事を防げれば暖房の使用エネルギー量は自ずと減ってきます。
今では窓の素材は、熱を通しやすいアルミから熱を通しにくい樹脂へのシフトが進んでいます。また、窓のメインであるガラスにおいては複層(2枚)からより断熱性の高い三重(3枚)が出てきています。窓製品は日々進化し続けているのです。是非生活に密接したところからカーボンニュートラルに寄与することを考えてみてはいかがでしょうか。
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2022/07/28
[マテックス環境コラム]我々のできるカーボンニュートラルとは